破魔弓が登場することになった理由

⑴破魔弓の由来

破魔弓は数ある魔よけの道具の中でも極めて高い力を持つとも考えられるようになった武器と考えても良いでしょう。
破魔弓が弓という極めて強い武器だからという事はありますが、強いという事で言えば剣などもあれば槍などもありますが、破魔弓というものはよく耳にしますが破魔剣や破魔槍というような事はなかなか耳にすることはありません。

これは弓というものが極めて特殊なものと考えられたという事があると言えるでしょう。
特に弓が特徴的な所は、遠距離攻撃が可能となるという所で、場合によっては見えないところにいる動物などもこの弓で仕留めるという事が出来るという事があったことが大きな意味を持つことになった理由と考えられます。

古来から日本は妖怪などの類は魔として不吉なモノと考えられる風習がありました。
そして、その魔がやってくるのが夜ということで夜が不吉の象徴となったという事もあったわけです。

何故夜が不吉になるのかというと見えないものがほとんどになってしまうという事があったので、見えない魔ということと共通しているということで、これが結びついていくという事も自然の流れであったという事が言えます。
暗闇で実際に動物に襲われるというような事もあったのかもしれません。

今ではそのような事はまず無くなったわけですが、当時の人からすればこの見えない事に対する恐れというのは極めて大きなものがあったという事については想像に難くはありません。

何しろ今のように科学が発達していませんから、何が起きても不思議では無く、魔が差すという言葉なども出てくるように、理解できない事が起きれば必ず魔というものがそこに起因するということが考えられたわけです。

⑵魔を退治する道具として登場した破魔弓

ですから、陰陽師というような占い師たちが活躍をするという事があったわけですが、これは今のような占い師のイメージでは無く、本当に全ての事を頼る宗教的な信頼感も集めていたという事も理解出来るでしょう。

そして、魔を退治する道具として登場することになるのが、この破魔弓ということでこれが如何に大切なものとなったのかという事も理解出来るようになるはずです。

既に上記の様に弓が見えない敵を倒すことが出来るという性質があるという事は述べていますが、弓以外ではこのような事が出来るものはありませんでした。

石礫を投げるという事もできますが、これは殺傷力という事ではほとんど機能することはなかったでしょう。
脅しとして使う事は出来る物の、相手を倒すという事が出来る武器ということになれば、もう弓しかないという事になっていたわけです。

とすれば、この弓が尊重されて唯一の破魔の武器というように考えられるのも無理はありません。
今でもゲームなどでは弓というのは極めて霊的な力がある武器の様に使われることが多いといって良いでしょう。

威力で言うと鉄砲の方がはるかに強いという事は間違いないのですが、魔を退治するというような場面になると出てくるのは必ずといって良いほどに弓という事になっていきます。

魔が近くに来れば霊剣のようなものが出てくる事もありますが、大抵の場合は魔は遠くにいて近寄りがたいものとなっているので、そのようなモノを倒すことが出来るのは破魔弓しかないというのは昔からの日本の定番的な考え方という事になるのかもしれません。

⑶まとめ

この定番と言うのは実は大きな意味がある事があるもので、意味なくそれが定着するというような事はほとんどありません。
つまり、昔から伝わって来ている事には何かの理由があり、その理由が無くなっても昔の人のイメージが伝わるということがあるので、理由が分からなくてもそのまま現代にも伝えられるという事が起きるという事なのでしょう。

この破魔の弓にしてもそうですが、他のさまざまな伝説にはその話が出来た原因となる理由があるので、そうした事を調べていくというのも面白いものです。
昔話というものが日本にも様々に存在しているのですが、そうした話も根拠となった話がいろいろと出てくる事があるので、これが歴史学者などを魅了する事という事にもなっています。

自分の知らなかった昔の人達の考え方や風習などがそうした話の一端に出てくる事になるので、昔の人を想うというような事も出来るようにもなります。
破魔弓は見た目だけで見ていると、かっこいいですし、凄い武器だというような事にもなるわけですが、何故このような名前がついているのか、その背景にはどのような事があるのかという事を考えていくと、様々な事が理解できるようになって面白いものです。

昔から伝わっているという事には大切な昔の人の想いもあるので、このような事を知るとご先祖様を敬うよい機会となるのかもしれません。
面白い事も様々に分かって来ますし、歴史を知るという事は今の自分を知るという事にもなります。

特に今に至る変化という事を考えて見ていくようにすると、昔はこう考えていたものが今はこのように変わったという事が分かり新鮮な気持ちにもなります。

最終更新日 2025年5月20日 by rosseng